(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

科学は、外界に実在しているのは、見ることも聞くことも嗅ぐことも味わうことも一切叶わない「のっぺらぼう」であると言うが、それは果してどんなものか(4/6) 【医学がしばしばしばみなさんに理不尽な損害を与えてきた理由part.5】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.51


◆外界に実在しているのは元素だけという科学の基本アイデア

 でも、「どの位置を占めているか」ということと、「どんな力をもっているか」ということしか問題にならないものとは具体的には一体何なのでしょうか?


 ちょっとよく考えてみてくださいよ。電柱といっても、その各部分同士には違いがありますね?


 たとえば、劣化具合が部分部分によって異なりますね? ある部分は腐食度が強いが、他の部分はそうでないとか。あるいは一部分だけ変色しているといったこともありますね? 電柱まるまる一本を一単位として見ると、それはどの部分もおしなべてひとつのおなじ力をもっているということになりますけど、そう考えると、いま挙げたような部分同士のあいだの違いは説明できなくなりますね?


 そこで、そうした部分間の違いを説明するためにも、科学はおのずと、電柱を細分化していき、各部分を別もの(別単位)同士、すなわち、もっている力が異なっているもの同士と見ることになります。


 で、その細分化の末、たどり着くと思われた最小のもの(それ以上細かくできないもの)、すなわち、「どの位置を占めているか」ということと、「どんな力をもっているか」ということしか問題にならない、この世の最小の何かこそがまさに、元素、という名で想定されてきたものではないでしょうか。






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*今回の最初の記事(1/6)はこちら。


*前回の短編(短編NO.50)はこちら。


*これのpart.1はこちら(今回はpart.5)。


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