*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.3
今回は、医学に差別されてきたのは、そしてされていくのは誰か、確認しますね。
以前に確認したことを、最初に軽くふり返ってから、はじめることにしましょうか。
簡単に言うと、こういうことでしたよね。
そもそも、みなさんと医学とでは、何を健康とし、何を病気とするかが異なるということでしたね。
ふだんのみなさんにとって、「健康」という言葉は、「苦しまないで居られている」ことを表現するためのものであるいっぽう、「病気」という言葉は、「苦しんでいる」ことを、その苦しみが手に負えないようなときに表現するためのものである。ふだんみなさんが、健康であるとか病気であるとかとしきりに言うことで争点にするのはそのように、「苦しまないで居られているか、苦しんでいるか」(快いか苦しいか)である。
ところが医学は、みなさんのそうした受けとり方をなぜか頭から斥け、健康とは正常であること、病気とは異常であることと定義づけてやってきた、ということでしたね。
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身体を機械と見なす医学には、快さや苦しさがいったい何であるか説明できず、「健康」や「病気」をみなさんのように素直にとることはできない、とのことでしたよね。そのことを確認したときの記事を一応、下に貼り付けておきますね。
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でも、少し考えてみると、引きつづきすぐにこういうことがわかりましたよね。
異常なひとはこの世にただのひとりも存在し得えないんだ、って。言うなれば、ひとはみな正常なんだ、って。医学がこれまで異常と判定し、病気と言ってきたひとたちもほんとうは正常と認められてしかるべきだった。実に医学はそのひとたちを不当にも、異常と決めつけて差別してきたんだ、って。
では、いまから、冒頭で宣言しましたとおり、医学からそんな差別を受けてきたのは、そして受けていくのは、誰なのか、確認していきますね。
みなさん、ひとつ、健康診断のことでも思い浮かべてみてくれますか。えっ、先日、メタボ診断でひっかかった? そうですね、健康診断では、いろんな数値がはじき出されてきて、その数値をもとに、正常であるとか異常であるとかとみなさん判定されますよね。そうした数値を以後しばらくのあいだ念頭に置きながら、話を聞いてもらうことにしましょうか。
いや、健康診断の代わりに、学生時代に受けたIQテストか何かを念頭に置いてもらってもかまいませんよ。
さあ、いきますね。
*今回の確認をもっと簡単にやる回はこちら。
*前回の短編(短編NO.2)はこちら。
*このシリーズ(全64短編を予定)の記事一覧はこちら。