*認知症の人間の言動は理解不可能か・第16回
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現在、血管性認知症について検証している。
その経緯はこうである。
医学はひとを認知症や軽度認知障害などと診断し、「異常」と見なすことによってそのひとたちに「理解不可能」の烙印を押してきた。しかし、理論的にはこの世に「理解不可能」な人間など存在し得ない*1。そこで、認知症に分類される主な四つ、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、ピック病、を順にとり挙げ、それぞれの症状とされるものがその理論どおりほんとうに「理解可能」か確認することにした。
で、現在、血管性認知症を見ているわけである。
長谷川和夫著の『よくわかる認知症の教科書』(朝日新書、2013年)にはその血管性認知症はこう説明されていた。
血管性認知症とは、脳卒中(脳梗塞、脳出血)によって起こる脳の血管障害で(略)、一度の脳卒中によって認知障害をきたすこともありますが、多くは、小さな脳梗塞(多発性脳梗塞)を繰り返すうちに、手足の麻痺などを伴いながら認知機能が次第に低下していきます。(略)アルツハイマー型認知症を合併することかも多く、鑑定が困難な例が多くあります」(同書36-37頁)
そして、その「認知機能の低下」として列記されていたのは次のとおりである。
- ①運動性失語(言葉が自由に出てこない)
- ②感覚性失語(相手の言葉を理解できない)
- ③うつ状態
- ④情動失禁(ささいなことですぐ涙ぐんだり、笑ったりする現象で感情をコントロールできない)
- ⑤自発性の低下
- ⑥激しい物忘れ(ただし、判断力、計算力、常識などが維持されていることが多く、「まだら認知症」といわれることがある)
ここまで①「運動性失語」と②「感覚性失語」について考察した。以後、③以下の四つを一気に見ていく。
*このシリーズの記事一覧
*1:次の手順で、この世に理解不可能な人間など存在し得ないことを確認した。
1.異常とは何かを確認する。
2.異常な人間など存在し得ないことを理論的に確認する。
3.そのことから理解不可能な人間が存在し得ないことを理論的に導く。
