*認知症の人間の言動は理解不可能か・第11回
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◆「上の空」で歩いていて、ふと我に返る
ここまで、アルツハイマー型認知症と診断される状態についてこう推察してきた。すなわち、それまでなら集中してすることができていた、たとえば料理や言葉のやりとりといったことに、意欲や興味が減退していて集中できず、「上の空」でそうしたことをしていることしばしばの状態でないか、と。
ではここで、みなさんがいま「上の空」で歩いていると仮定してみよう。みなさんは歩いている最中いつの間にか「上の空」になり、「上の空」で信号を渡り、「上の空」で角を曲がって、いま「上の空」で歩みを進めている。
するとある地点でみなさんの身に、「上の空」でシャンプーをしているときに起こるのと同じことが起こる。
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「上の空」でシャンプーをしているときに起こることとは?
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ちょうど先ほど復習したように、「上の空」でしていたことはついいまさっきのことでも、思い出すのは難しい(物の道理1)。「上の空」でシャンプーをしていたみなさんがふと我に返ったとき、ついいまさっきシャンプーをしたのだったか、それともこれからシャンプーをするところだったか、わからなくなるのと同じように、「上の空」で歩いてきたみなさんは或るところでふと我に返り、これまでどこをどう歩いてきたか、また自分がいまどこにいるか、わからないことに気付くわけである。