(新)Nothing happens to me.

科学には、人間を理解することを妨げる理論的欠陥がある

アルツハイマー型認知症⑤:事実とは異なることを話のなかに織り込む(作話の)理由(5/5)

認知症の人間の言動は理解不可能か・第9回

(※2025年7月4日に文章を一部修正しました)

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 いま見た展開をまとめるとこうである。

  • ①「おじいさん」が困り顔で「金を至急返しに行かないといけない。ちょっと金を工面してくれるか」と頼み込んできた姿を思い浮かべる(現実)
  • ②そんな姿を思い浮かべたりなんかしていない「自信」がある(現実に背反する自信)
  • ③その「自信」に合うよう「現実」を修正し、こう解釈する。「おじいさん」が実際に現れて、「金を至急返しに行かないといけない。ちょっと金を工面してくれるか」と困った様子で言い残して去った(現実修正解釈)。


 先に、アルツハイマー認知症の症状一覧の中に入っていてしかるべきであるにもかかわらず見当たらないものがひとつあると指摘したけれども、それは、医学には「幻覚」と呼ばれるこの現象のことである。


 A(初期段階)の⑤「作話はその幻覚に当たるのではないか、というのがここでの推論である。


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参考(?)資料:オリバー・サックスの『幻覚の脳科学

ひとというのはいろんな状況下で幻覚なるものを見るということがわかる。

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「上の空」になっているときふと思い浮かんだ架空の場面が、ちょうどいま言及した「現実修正解釈」によって「現実の出来事」と誤信されて口にされ、それが、事実に基づかないデタラメを言っている作話ととられてきた、ということではないかということである。


 いやもちろん別の可能性も考えられるかもしれない。


 ひょっとすると単に「嘘をついている」だけかもしれない。


 もしくは、理解できていない事柄の辻褄を合わせるために為した推測が間違っている、ということかもしれない。そして、それが周りのひとには、嘘を話の中に混ぜ込んでいる「作話」と捉えられるということかもれしない。


 あるいは、それまでなら集中してすることができていたいろんなことに、意欲や興味が減退していて集中できなくなっているということであれば当然、物事への理解度も落ちていることだろう。で、何かにつけ誤解し、それが「作話」と見られるという可能性も考えられなくもないのかもしれない。


 以上、今回は、医学に「理解不可能」の烙印を押されてきたアルツハイマー認知症のA(初期段階)の⑤「作話」につき、ほんとうに俺たちの示した理論どおり「理解可能」か検証し、次の解釈可能性を挙げることになった。

  • イ.幻覚
  • ロ.嘘をついている
  • ハ.事柄の辻褄を合わせる推測が間違っている
  • ニ.理解度が落ちて、何かを誤解している



(→次回



*この「現実修正解釈」は統合失調症なるものの考察でもつぶさに見ました。


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