*認知症の人間の言動は理解不可能か・第9回
(※2025年7月4日に文章を一部修正しました)
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アルツハイマー型認知症の症例なるものについて、冒頭で言及した長谷川氏の著書にある説明から簡単な一覧を作っておいた。それを再度次に示す。作話はA(初期段階)の⑤である。
A.初期段階
①物忘れが次第に激しくなる(記憶機能の低下)
数分前に食事したことを忘れたり、曜日や日にちがわからなくなって、周囲に何回もおなじことを聞いたりするようになる。
②段取りを立てて物事を行うことができなくなる(実行機能障害、手順の障害)
言葉のやりとりが難しくなったり(失語、「あれ」「これ」といった代名詞が多くなって意味が通じにくくなる)、料理などができなくなったりする。
③不安、不穏(落ち着きのなさ)、うつ状態
④物盗られ妄想をするようになる
財布などの貴重品をどこかに置き忘れて、それを身近にいる人(介護している人など)の責任にし、「盗まれた」と主張する。
⑤作話
事実とは異なることを話のなかに織り込む。
B.中等度①見当識が失われる(失見当)
季節や時間の意識がなくなったり、自分のいる場所がわからなくなって道に迷ったり、トイレの場所がわからなくなって失禁したりする。
②失行
ボールペンなどこれまで当たりまえに使えていた道具が使えなくなったり、着替えができなくなる(着衣失行)
C.高度認知症①対象を認識できなくなる(失認)
いっしょに暮らしている家族の顔がわからなくなる(相貌失認)。また、大小便の失禁、摂食障害・嚥下障害(食べたり、飲み込んだりが困難)が起こる。
さて、ここまで俺たちはA(初期段階)の①から④の検証を通し、こう推測してきた。
それらの状態は、これまでなら集中してすることができていた、食事や料理といったようなことに、意欲や興味が減退していて集中できず、それらのことを「上の空」ですることしばしばになっている状態だろう、と。
ところが、そうした状態にあるなら起こってきて何の不思議もない或るひとつの現象が、よく見てみると、この症状一覧には含まれていないことに気付く。
その含まれていない現象とは何か。