(新)Nothing happens to me.

科学には、人間を理解することを妨げる理論的欠陥がある

アルツハイマー型認知症④:「物盗られ妄想」をするようになる理由(4/5)

認知症の人間の言動は理解不可能か・第8回

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◆身近にいる人(介護をしている人など)に『盗まれた』と主張する

 今度はこんな場面を想定してみる。


 みなさんは財布を家のどこかに「置き忘れ」た。在ると思っていた場所や、在る可能性のある場所を探してみたが、どこにも見つからない。


 しかしみなさんからしてみると、自分が財布を無くすようなことをしたはずはない。つまり、みなさんには、財布を無くしてしまうようなことをしていない自信」がある。


 いまこう仮定した。みなさんは実際のところ財布をどこかに置き忘れた。それが「現実」である。ところがみなさんには、財布を無くしてしまうようなことをしていない「自信」がある。そのように「現実自信とが背反するに至ったとき、ひとにとることのできる手は、つぎのふたつではないだろうか。

  • A.その背反を無くすために「自信」のほうを「現実」に合うよう修正する。
  • B.その背反を無くすために「現実」のほうを「自信に合うよう修正する


 この場面でみなさんがとるのはBの「現実のほうを自信に合うよう修正する」であるということにしてみよう。みなさんは、財布を無くすようなことをしていない自信に合うよう現実を修正する。


 こんなふうに。


 財布を無くすようなことはしていない。なのに見つからないとなると、さては盗まれたな。盗んだのは、財布のある場所のことをよく知っていた人間に違いない。なら、それは介護者だ。






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