*認知症の人間の言動は理解不可能か・第7回
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ここで、先に一度引用に使った佐藤眞一著『認知症「不可解な行動」には理由がある』(SB新書、2012年)を開いてみることにする。そのなかで佐藤氏は認知症一般についてではあるが(話をアルツハイマー型認知症には限定していないが)、こう記している。
これから引用する文章のなかの太字部分にぜひ注目してみてほしい。それらは「うつ状態」の具体的なありようだと言えるのではないだろうか。
皆さんの中には、認知症には「中核症状」と「周辺症状」がある、と聞いたことがある方もいるのでないでしょうか(略)。周辺症状は今はBPSDと呼ばれることが多くなっていて(略)
症状の詳しい内容やその対応方法は第3章以降で述べることにして、ここではどのような中核症状やBPSDがあるかを、ざっと見ておきましょう。
比較的軽い段階では、以下のようなことが見られます。
- 同じことを何度も言ったり、聞いたりする。
- 置き忘れ、しまい忘れが目立つ。
- 物事に関心を示さなくなる。
- 買い物に行かなくなる。
- 趣味でやっていたことをしなくなる。
- 料理が下手になる。味付けがおかしい。
- 無気力になる(無関心、意欲低下)
- もの盗られ妄想が起こる。
- うつ傾向になる。
- 入浴、食事、外出などを拒否する。
- 契約をしたり保証人になったりしてしまう(断ることができない)(同書90-92頁、ただし太字化は引用者による)
太字にした部分を再度とり出すとこうである。
- 物事に関心を示さなくなる。
- 買い物に行かなくなる。
- 趣味でやっていたことをしなくなる。
- 無気力になる(無関心、意欲低下)
- うつ傾向になる。
- 入浴、食事、外出などを拒否する。
それらはまさに「意欲や興味が減退している」ありようを示しているのではないか。
今回は、アルツハイマー型認知症なるもののA(初期段階)の③「不安、不穏(落ち着きのなさ)、うつ状態」について点検し、先だって為したAの①と②の推察の裏付けを得た。
つまり、Aの③「不安、不穏(落ち着きのなさ)、うつ状態」は「意欲や興味が減退している」状態のことを意味し、それまでなら集中してできていたことに、そのように意欲や興味が減退していて集中することができなくなり、その結果、そうしたことを「上の空」でしていて、ついいまさっきのことも忘れてしまうのがAの①で、事をし損じるのがAの②ではないか、ということである。
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