(新)Nothing happens to me.

科学には、人間を理解することを妨げる理論的欠陥がある

アルツハイマー型認知症②:料理や言葉のやりとりが困難になる(段取りを立てて物事を行うことができなくなる)理由(4/4)

認知症の人間の言動は理解不可能か・第6回

3/4へ戻る←)


 以上、今回はアルツハイマー認知症の②「段取りを立てて物事を行うことができなくなる」について考察してきた。その具体例として挙げられていた二つは「言葉のやりとりが難しくなる(失語、「あれ」「これ」といった代名詞が多くなって意味が通じにくくなる)」と「料理などができなくなる」で、医学では、そうした基本的なことができなくなるなんて「理解できない」、異常だ、実行機能「障害」だと見られるということだった。


 けれどもそうした見方に反し、俺たちはそれらを「上の空では事をし損じるという誰でもよく知っている物の道理に従った全く珍しくない「理解可能」な現象ではないか、と推測した。


 たとえば会話や料理といった、それまでなら集中してすることができていたことに意欲や興味が減退していて集中できず、「上の空でそれらをしていた結果、し損じることになった、というのがその真相ではないか、ということだった。


 ひとつ考えてみてほしい。みなさんも言葉がなかなか出てこなかったり、「あれ」や「これ」といった指示語にひんぱんに頼ることになったりする、うまく喋れないときがあるだろう。


 そのときみなさんはどのようであるか。


 そうしたときみなさんは、言いたいことを言葉にするその作業にどこか投げやりになっている感じを自分自身のにうちに覚えていはしないか。しっかり集中して言葉を探さなければならないところ、そうする労力を払う意欲を欠ききっちりとは集中しきれていない状態で言葉を発そうとしている自分自身に気付いていはしないか。


 そうした状態より更に「意欲」を欠き、集中できていない状態が、今回点検したアルツハイマー認知症の「言葉のやりとりが難しくなる(失語、「あれ」「これ」といった代名詞が多くなって意味が通じにくくなる)」ではないかというわけである。


 ただし、最後にひと言付け加えておきたい。


 それは、前回の考察で出くわした、「上の空」でしていたことはついいまさっきのことであっても、思い出すのは難しいという物の道理がこの②「段取りを立てて物事を行うことができない」にも関わっていたとしても何らおかしくはない、ということである。「上の空」で会話もしくは料理をしていて、ついいまさっき何を話していたか、どんな作業をしていたか思い出せなくなって話や料理の筋道を見失い、まともに話したり料理したりすることができなくなる、といったこともあるかもしれないということである。






(→次回



*2025年5月6日に文章を一部修正しました。


*このシリーズの記事一覧