(新)Nothing happens to me.

科学には、人間を理解することを妨げる理論的欠陥がある

アルツハイマー型認知症①:ついいまさっきのことを忘れてしまう理由(5/5)

認知症の人間の言動は理解不可能か・第5回

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 仕事を退職したり高齢になって活動量が少なくなったりして毎日がどの日も似たり寄ったりになったとき、曜日や日にちを覚えるのは自動的に誰にとっても難しくなりはしないだろうか。喩えを用いて言ってみれば、互いによく似通った複数のひとたちの顔と名前を一致させるのが難しいのとおなじように、である。


 その日が週のなかの他の日とどう違っているか。そこにしっかりとした違いがあれば、その日の何曜日であるかは覚えやすくなり、反対にそこに目立った違いがないと、その日が何曜日か覚えておきにくくなるということはないか。


 その日が月のなかの他の日々とどう違っているか。そこにはっきりとした違いがあれば、その日の何日であるかを記憶にとどめやすくなり、反対にそこに目立った違いが認められないと、その日が何日か記憶しておきにくくなる、ということはないだろうか。


 そして、もしそういうことだとするとその場合もまた、この物忘れは「記憶機能の低下」ではないことになる。単に日々の中身の問題、生活の仕方の問題ということになる。


 以上、アルツハイマー認知症の初期症状の①「物忘れが激しくなる」について今回は考察した。アルツハイマー認知症の初期症状のひとつに数え入れられ、「理解不可能」の烙印を押されてきたこの「物忘れ」が必ずしも「理解できない」ものなんかではなさそうであるという感触を少なくとも得ることができたように思われるが、果してどうだろうか。




(→次回

 

 

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