(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

正常と異常のそれぞれの意味を、もっと簡単な仕方で確認する(3/4)【短編NO.1の補足】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.56


◆イメージに合致していないことをもって、問題有りと考える

 だとすると、そこからもうすこし突っ込んで、正常、異常とはこういうことだと言えるのではありませんか。


 掃除機を正常と判定するというのは、その掃除機の実際のありようを、みなさんが掃除機にたいしてもっている「掃除機とはコレコレこういうものだ」というイメージに、合致していると見、そのイメージに合致していることをもって、その掃除機を問題無しと考えるということだ、って。


 いっぽう、掃除機を異常と判定するというのは、その掃除機の実際のありようを、みなさんが頭のなかにもっているその「掃除機とはコレコレこういうものだ」というイメージに、合致していないと見、そのイメージに合致していないことをもって、その掃除機を問題有りと考えることだ、って。


 箇条書きにしてまとめると、こういうことです。


 掃除機を正常と判定するというのは、

  • ①その掃除機の実際のありようを、みなさんが掃除機にたいしてもっている「掃除機とはコレコレこういうものだ」というイメージに合致していると見、
  • ②その合致していることをもって、その掃除機を問題無しと考えるということ、


 かたや掃除機を異常と判定するというのは、

  • ①その掃除機の実際のありようを、みなさんが掃除機にたいしてもっている「掃除機とはコレコレこういうものだ」というイメージに合致していないと見、
  • ②その合致していないことをもって、その掃除機を問題有りと考えること。


 いま機械について見ましたけど、気象についてはどうですか。最近、「異常」気象という言葉を口にするひと、多いですね。連日の夏の猛暑を「異常」気象と言うとき、ひとはどんなものの見方をしているとみなさんは思いますか。


 いまの機械の場合とおなじではありませんか。昨今の夏の気象を異常と判定するというのは、昨今の夏の気象のありようを、そのひとが(夏の)気象にたいしてもっている「(夏の)気象とはコレコレこういうものだ」というイメージ(気象についての定義)に、合致していないと見、その頭のなかのイメージに合致していないことをもって、昨今の夏の気象を、問題有りと考えるということ、ではありませんか。


 なら、ひとについて正常であるとか異常であるとか言うのも当然これとおなじと考えられますね?






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2023年11月20日に文章を一部修正しました(内容はまったく変わっていません)。


*今回の最初の記事(1/4)はこちら。


*前回の短編(短編NO.55)はこちら。


*このシリーズ(全61短編を予定)の記事一覧はこちら。