*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.55
◆快さ・苦しさとは「今どうしようとするか、ハッキリしている度合い」のことである
最初にいきなり結論を口にすることにしましょうか。で、そのあと、その結論を念頭に、一からその結論に向かって、ひとつひとつ論理的な階段をあがっていくという手順をとってみましょうか。
では、最初に結論を言いますよ。快さとは何か、また苦しさとは何か。
まずみなさん、みなさんが快さを感じている具体的な一場面を想像してみてくれますか。どんな場面でも構いません。わかりやすい例がお勧めですけど。
どうですか。そのとき、みなさんはどんなふうに感じていますか。みなさんなら、その感じをどう表現しますか。
こう表現しませんか。
今どうしようとするか、かなりハッキリしている、って。
いや、いま言ったことを理解できなくても、心配しないでくださいよ。このあと説明を足していったとき、事は明確になっていきます。
つづいて今度は、みなさんが苦しさを感じている具体的な場面をひとつ想像してもらいましょうか。わかりやすい例を、どんな場面でも構いません、想像してみてくれますか。
どうですか。そのときこんなふうに感じていると表現することができませんか。
今どうしようとするか、あまりハッキリしていない、って。
要するに、まとめるとこういうことです。
快さを感じているとは、「今どうしようとするか、かなりハッキリしている」ということであり、かたや苦しさを感じているとは、「今どうしようとするか、あまりハッキリしていない」ということである、って。
どうでしょう。俺は雲をつかむような話しをしているでしょうか? けど仮にそう聞こえていたとしても、大船に乗った気持ちでいてください。いま、一から順にこの結論に向けて、理詰めで話をしていきます。ひとつひとつ、論理的な階段を踏んで確認していけば、最後にはおのずと、いま口にした結論の意味が明らかになっているはずですよ。
*前回の短編(短編NO.54)はこちら。
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