(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「思春期に発症し、典型的な経過がみられたケース」を理解するpart.5(統合失調症理解#16)(2/6)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.37


◆からかうような声や嫌がらせの声が絶えず聞こえてくる

 前回、2浪生のNさんが、新しく通いはじめた予備校で嫌がらせを受けたと言っていた件につき、3つの可能性を挙げて考察しました。


 その後、Nさんはすぐに予備校に行かなくなり、追い詰められて、自殺を考えるようになったとのことでしたね。「死ぬことばかり考えるようになった。飛び降り自殺をしようと思い、ビルの屋上に何度か行ったが、怖くてできなかった」とのことでしたね。


 死ぬこともできず、さらに追い詰められたわけですね。


 そしてその頃、「幻聴も活発でからかうような声や嫌がらせの声が絶えず聞こえてきた」ということでした。


 2浪しているのに、予備校にも行かず、勉強もしないでいる自分を、世間はバカだと嘲笑っているのではないかちゃんとしろと非難しているのではないかとNさんはしきりと気になったのかもしれませんね。


 でも、自分がそこでそんなふうに世間の目を気にするなんて、Nさんにはまったく思いも寄らないことだったのかもしれませんね。


 いや、いっそ、そのことも裏返しにして、語弊を怖れながらも、こう言い直してしまいましょうか。そのときのNさんには、自分が世間の目を気にしているはずはないという自信があったんだ、って。


 で、その自信に合うよう、Nさんは現実をこう解した。


 ボクを、バカだと嘲笑う声(からかうような声)や、ちゃんとしろと非難する声(嫌がらせの声)が絶えず聞こえてくる、って。


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Nさんのこの事例は全6回でお送りします。

  • part.1(短編NO.33)

  • part.2(短編NO.34)

  • part.3(短編NO.35)

  • part.4(短編NO.36)

  • part.5(短編NO.37)


   今回

  • part.6(短編NO.38)


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