*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.36
◆他の生徒の内心を気にする(案3)
いま、2浪が決まったあとのNさんが、新しい予備校に通いはじめたものの、すぐ、他の生徒たちに嫌がらせをされたと言って通わなくなった件について、推測をふたつしてみました。でも、もうひとつだけ、別の推測をしてみても、みなさん、構いません?
ひょっとすると、Nさんが、他の予備校生たちの内心を気にしていたということだったのかもしれないと考えてみても?
すなわち、こういうことですよ。
Nさんは、他の予備校生たちに内心、「2浪もしているヤツはバカだ」とか「ロクに勉強もしないヤツなんか予備校に来るなよ、うぜえ」だとかと思われているのではないかとしきりに気になった。
ところが、Nさんからすると、自分が予備校でそんなことを気にしたりするはずはなかった。
いや、いっそ、Nさんのその見立てについても、語弊を恐れながらも、こう言い改めてしまいましょうか。そのときNさんには、自分が他の生徒たちに内心悪く思われているのではないかと気にしているはずはない、という自信があったんだ、って。
で、その自信に合うよう、Nさんは現実をこう解した。
他の予備校生たちが「このバカ」「うぜえ」と言っているのが、聞こえる、って。
2021年8月15日に文章を一部修正しました。
*今回の最初の記事(1/9)はこちら。
*Nさんのこの事例は全6回でお送りします(今回はpart.4)。
- part.1(短編NO.33)
- part.2(短編NO.34)
- part.3(短編NO.35)
- part.5(短編NO.37)
- part.6(短編NO.38)
*このシリーズ(全48短編を予定)の記事一覧はこちら。