(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「カガヤ臭いという声が聞こえてくる(幻聴)」「殺し屋に狙われているという幻覚(幽霊論)」を理解するpart.1(統合失調症理解#12)(6/7)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.19


 で、この件以後、

 学校の教室だけでなく、廊下や体育館、通学のバスや電車、エレベーターなど、ある程度密閉された空間では、常に「カガヤ臭い」と、中傷する声が聞こえてきた。


「僕が臭いせいで、みんなが迷惑をしているんだ」


 明るかった加賀谷は、しだいに暗くなり、周囲から孤立していった。


 とのことでしたね。加賀谷少年は、廊下、体育館、バス、電車、エレベーター等のなかでも、ひとに臭い匂いで嫌な思いをさせ、恨まれているのではないかとひどく心配するようになったのかもしれないということでしたね。


 でもそれも加賀谷少年には予想外のことだった。自分がそうした場所でそんな心配をするなんて、思いも寄らないことだった。


 加賀谷少年の「予想ではそうした場所で自分がそんな心配をしているはずはなかった


 こうして先ほど同様、廊下、体育館、バス、電車、エレベーター等のなかでも、「現実予想とが背反するようになった。そして、それらの場面でも加賀谷少年は、先に挙げた選択肢B「予想に合うよう、現実のほうを修正する」手をとりつづけた。


 自分がそんな心配をしているはずはないとするその予想に合うよう、現実をこう解しつづけた。


「カガヤ臭い」とボクを責める声がつねに聞こえてくる、って。


 いま見ましたところを、箇条書きにしてまとめるとこうなります。

  • ①ひとに臭い匂いで嫌な思いをさせ、恨まれているのではないかと、いろんな場面でひどく心配になる(現実)。
  • ②加賀谷少年の予想では、自分がそんな心配をしているはずはなかった(現実と背反した予想)。
  • ③その予想に合うよう、現実をこう解釈する。「『カガヤ臭い』とボクを責める声がつねに聞こえてくる」(予想に合うよう現実を修正する


 さあ、はじめに、加賀谷少年のこの幻聴体験について、少年は現実修正解釈をしていたのではないかと指摘しましたよね。「現実自信とが背反するに至った。そこで、前者の「現実」のほうを、後者の「自信」に合うよう、修正したのではないか、って。その後、その操作は実は、「現実予想に合うよう修正する操作とも言えるということを確認しました。「予想」に反したことが現実に起こって、「予想」と「現実」とが背反するに至ったとき、そのふたつのうちのいっぽうである「現実」を、もういっぽうの「予想」に合うよう、修正する手とも言えるんだ、って。最初の説明で挙げた「自信予想と同義だというわけですよ。


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