(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

統合失調症の「カガヤ臭いという声が聞こえてくる(幻聴)」を理解する(6/7)【統合失調症理解#12-part.1】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.19


 いまこう言いましたよ。


 実のところ、「現実」は加賀谷少年の「予想」どおりにはなっていなかった。だけど、そのとき加賀谷少年は、その「予想」を、「現実」に合うよう、訂正するのではなく、反対に「現実」のほうを、その「予想」に合うよう修正したんだ、って。


 つまり、自分の「予想」と「現実」とが背反するに至った場面で、後者の「現実」のほうを、前者の「予想」に合うよう修正したんだ、って。


 さあ、はじめに、加賀谷少年のこの幻聴体験について、少年は現実修正解釈をしていたのではないかと指摘しましたよね。「現実」と「自信」とが背反するに至った。そこで、前者の「現実」のほうを、後者の「自信に合うよう修正したのではないか、って。その後、ちょうどいまのことですけど、その操作は実は、「現実」を「予想に合うよう修正する操作とも言えるんだって、確認しました。「現実」と「予想」とが背反するに至ったとき、そのふたつのうちのいっぽうである「現実」を、もういっぽうの「予想」に合うよう、修正する手とも言えるんだ、って。最初の説明で挙げた「自信」は「予想」と同義なんだ、って。





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2020年9月30日に、主旨は依然のままに保ちながら、表現を大幅に変更しました。また2021年9月13,15日に文章を一部修正しました。


*今回の最初の記事(1/7)はこちら。


*前回の短編(短編NO.18)はこちら。


*このシリーズ(全43短編を予定)の記事一覧はこちら。