*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.19
いまこう言いましたよ。
実のところ、「現実」は加賀谷少年の「予想」どおりにはなっていなかった。だけど、そのとき加賀谷少年は、その「予想」を、「現実」に合うよう、訂正するのではなく、反対に「現実」のほうを、その「予想」に合うよう修正したんだ、って。
つまり、自分の「予想」と「現実」とが背反するに至った場面で、後者の「現実」のほうを、前者の「予想」に合うよう修正したんだ、って。
さあ、はじめに、加賀谷少年のこの幻聴体験について、少年は現実修正解釈をしていたのではないかと指摘しましたよね。「現実」と「自信」とが背反するに至った。そこで、前者の「現実」のほうを、後者の「自信」に合うよう、修正したのではないか、って。その後、ちょうどいまのことですけど、その操作は実は、「現実」を「予想」に合うよう修正する操作とも言えるんだって、確認しました。「現実」と「予想」とが背反するに至ったとき、そのふたつのうちのいっぽうである「現実」を、もういっぽうの「予想」に合うよう、修正する手とも言えるんだ、って。最初の説明で挙げた「自信」は「予想」と同義なんだ、って。
2020年9月30日に、主旨は依然のままに保ちながら、表現を大幅に変更しました。また2021年9月13,15日に文章を一部修正しました。
*今回の最初の記事(1/7)はこちら。
*前回の短編(短編NO.18)はこちら。
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