*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.17
でも、(精神)医学にはそのように十分な人間理解力は「なかった」ものの、つぎのような自信はずっと「あり」ました。(精神)医学の人間理解力は完璧であるはずだという自信は。で、その自信に合うよう、(精神)医学は現実をこう解してきました。
(精神)医学にEさんのことが理解できないのは、Eさんが「理解不可能」であるからだ、って。
要するに箇条書きにしてまとめると、こういうことですよ。
- ①(精神)医学にはEさんのことを理解するだけの力がない(現実)。
- ②ところが(精神)医学には、(精神)医学の人間理解力は完璧であるはずだという自信がある(現実と背反している自信)。
- ③そして、その自信に合うよう、(精神)医学は現実をこう解釈してきた。「(精神)医学がEさんのことを理解できないのは、Eさんが理解不可能であるからだ」(現実修正解釈)
今回は、統合失調症と診断され、このように「理解不可能」と決めつけられてきたEさんに登場してもらい、「赤の他人の顔写真を見て、自分の父親は怒っているととる」そのEさんが、ほんとうは「理解可能」であることを実地に確認しました。
次回は2週間後、7月6日(月)21:00頃にお目にかかります。
2021年9月12日に文章を一部修正しました。
*今回の最初の記事(1/4)はこちら。
*前回の短編(短編NO.16)はこちら。
*このシリーズ(全64短編を予定)の記事一覧はこちら。