(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「監視されている」「数字が合図を送ってくる」「盗聴されている」を理解する(統合失調症理解#4)(6/8)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.11


◆盗聴されている(ⅱ)

 もしくはこんな想像もできませんか。


 男性は上司の言葉や態度から自分が上司のことを嫌っているのが当の上司にバレていると堅く思い込んだ」んじゃないか、って。


 でも、男性には自信があった。上司のことを嫌っている素ぶりを、自分が言葉遣いや態度に出したはずはない、って。上司に嫌っていることがバレるようなことを自分がしたはずはない、って。


 上司の言葉や態度から、男性は、上司に嫌っていることがバレていると「思い込んだ」(現実)。だけどその反面、男性には「自信」があった。上司に嫌っていることがバレるようなことを自分がしたはずはないといった自信が。そのように「現実自信とが背反するに至ったとき、ひとにとることのできる手は、やはり、つぎのふたつのうちのいずれかであるように俺には思われます。

  • A.現実に合うよう、自信のほうを修正する。
  • B.自信に合うよう現実のほうを修正する


 で、この場面でも男性は、後者Bの「自信に合うよう、現実のほうを修正する」手をとった。すなわち、上司に嫌っていることがバレるようなことを自分がしたはずはないといったその自信に合うよう、現実をこう解した。


 上司に嫌っていることがバレている。おかしい。嫌っていることが上司にバレるはずはないのになあ。あ、でも、ちょ待てよ。そういえば、家で上司の悪口を言っているな……ううむ、どうやらこれは、上司が家のなかを盗聴しているということだとしか考えられないな、って


 いまのふたつ目の想像を箇条書きにするとこうなります。

  • ①上司の言葉や態度から、上司に嫌っていることがバレていると「思い込む」(現実)。
  • ②上司に嫌っていることがバレるようなことを自分がしたはずはないといった自信がある(現実に背反している自信)。
  • ③その自信に合うよう、現実をこう解釈する。「家で悪口を言っているところを上司に盗聴されたにちがいない」(現実修正解釈)。


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