(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

そもそも正常とは何か、異常とは何か(1/2)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.1


 医学は、健康を正常であること、病気を異常であることと定義づけてやってきましたよね。で、異常と診断したひとたちに治療をしてきましたね。

正常と病理 (叢書・ウニベルシタス)

正常と病理 (叢書・ウニベルシタス)

 


 でも、正常とか異常とかいう言葉の意味、みなさん、わかります? 失礼なことを言うと思われるかもしれませんけど、実はみなさん、そうした言葉を、意味もよくわからないまま、ただ何となく使ってきただけなのではありませんか(実は俺、そのクチでした。気分を害された方、俺と一緒にしてしまって大変すみません)。


 正常とは問題が無いこと、異常とは問題が有ることをそれぞれ言うのだろうとはすぐに察しがつきますね? だけど、ではそれがいったいどんな問題を無いとか有るとか言うことなのかとなると、急に答えにグッと詰まってしまいません?


 今回は正常異常という言葉の意味を確認しますね。


 が、そのまえに、健康、病気という言葉についてほんのちょっと見させておいてもらって構いませんか?


 冒頭でこう言いましたよね。医学は、健康を正常であること、病気を異常であることと定義づけてやってきましたよね、って。でも、みなさん、ようく考えてみてくださいよ。みなさんはふだん、健康とか病気とかいう言葉を、そんな、正常、異常をそれぞれ表現するものとして使ってます?


 健康とは「健やかに康らかに」と書きますね。ふだんのみなさんにとって「健康」という言葉は、「苦しまないで居られている」ことを表現するためのものではありませんか。


 かたや病気とは、「気を病む」と書きますね。「気を病む」とは、苦しむという意味ですね? ふだんのみなさんにとって「病気」という言葉は、「苦しんでいる」ことを、その苦しみが手に負えないようなときに表現するためのものではありませんか。


 試しに、いま言ったことを簡単に確かめてみましょうか? 病気じゃなくなること、すなわち健康になることを、治る、とみなさん言いますね? では、みなさんは何をもって、治った、とします? 治療を受けたあとのことを考えてみてくださいよ。どうですか。「苦しまないで居てられるようになった」ことをもって、治った、とするのではありませんか。


 ふだん、「健康である」とか「病気である」とかとしきりに言うことで、みなさんが争点にするのは、そのようにあくまで、「苦しまないで居られているか苦しんでいるか」(快いか苦しいか)ではありませんか。


 なのに医学は、健康を正常であること、病気を異常であることと定義づけてやってきたわけです。


前回の短編(予告編)はこちら。


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