(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

快さとは何か、苦しさとは何か、実例を挙げてご確認いただく②

*科学するほど人間理解から遠ざかる第7回


 今度は、苦しさについてご確認いただきます。


 ご自身が強い苦しみをお感じになっている瞬間をひとつご想像ください。


 足の小指をタンスの角でぶつけられた直後の一瞬でも、腹痛を脂汗まみれで堪えておられるときでも、あるいは世のなかの不正に憤っておられるときや、生きることの悲しさを身にしみてお感じになっているとき、または肩身の狭い思いをしておられるときや、寒くてもしくは誰かに会いたくてガタガタ震えておられるときでも何でもかまいせません。


 その他、つぎのように表現される瞬間をご想起くださってもモチけっこうです。気持ちが悪い、具合が悪い(具合の悪さを感じている)、調子が悪い、めまいがしている、ふらふらしている、(手足が)かじかんでいる、ふるえている、寒い、痛い、冷たい、暑い、息苦しい、緊張している、淋しい、不安を感じている、心配している、落ち着かない、迷っている、焦っている、恥ずかしい、気がとがめている、針のむしろである、鬱々としている、窮屈である、気が散っている、意欲がない、退屈している、疲れている、呆然としている、怖い、自分を責めている、力が入らない、だるい、かゆい、ムズムズしている、イライラしている、驚いている、腹が空いている、喉が渇いている、悶々としている、フワフワしている、しびれている、気が遠くなっている、現実感が薄い、能動感がない等々。


 ともかく、強い苦しさをお感じになっている場面をひとつご想像ください。


 そのように強い苦しさを感じているというのは、「今どうしようとするか、かなりはっきりしていない」ということであると表現できはしないでしょうか。「今どうしようとするか、はっきりしていない」ほど、より強い苦しみを感じていると言えはしないでしょうか*1


後日、配信時刻を以下のとおり変更しました。

  • 変更前:09:00
  • 変更後:09:05


ひとつまえの記事(①)はこちら。


前回(第6回)の記事はこちら。


このシリーズ(全32回)の記事一覧はこちら。

 

*1:ここもこう申せます。そのように強い苦しさを感じているというのは、「今どうしようとするか」という問いがかなり解決していないということであると表現できはしないでしょうか。「今どうしようとするか」という問いが解決していないほど、より強い苦しみを感じていると言えるのではないでしょうか、と。