(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

機械に正常異常という区分けを用いるとはどうすることか

*身体をキカイ扱いする者の正体は第2回

 機械に用いられる正常異常という区分けを、ほんとうは機械ではない「身体の物的部分」に用いることが可能なのかどうか明らかにするために、まず、機械に正常異常という区分けを用いるというのが何をすることなのか確認します。


 機械のうちのひとつである掃除機には正常異常が言われます。みなさん、ご想像ください。ご自宅でお使いの掃除機をみなさんはどんなときに、正常と判定なさいますか。また異常(故障)と判定なさるのはどんな場合でしょうか。


 掃除機とはこれこれこういうものであるというイメージをみなさん、お持ちかと思います。みなさんが掃除機にたいしてお持ちのイメージは、「コンセントにコードをつないでスイッチを押せばゴミを吸引するものである」といったところではないでしょうか。


 みなさんは、ご自宅の掃除機が、そのイメージどおりであれば、問題無しと判定されて、正常であるとお呼びになり、かたやそのイメージどおりではなければ問題有りと判定なさって、異常である(故障している)とおっしゃるのではないでしょうか。


 そしてもしご自宅の掃除機が問題有り(異常)と判定されれば、みなさんは首をひねってこのようにお考えになるのではないでしょうか。ほんらいその掃除機も、みなさんが掃除機にたいしてお持ちのイメージどおり、コンセントにコードをつないでスイッチを押せばゴミを吸引するはずなのに、どうしてそうなり損ねるのだろう。いったい掃除機内部の何がそうなるのを妨げるのか、と。


 いま、みなさんはご自宅の掃除機を、みなさんが掃除機にたいしてお持ちのイメージどおりであるかないかで、問題無しか有りかを判定され、問題無しと判定されれば正常と、かたや問題有りと判定されれば異常とそれぞれお呼びになるのではないかと申しました。果してこのように正常異常に区分けするのは何をすることなのでしょうか。


 掃除機のような機械には設計製造者(平たく言えば、造り手)がいます。設計製造者は設計製造行為によって、みなさんが掃除機にたいしてお持ちの「コンセントにコードをつないでスイッチを押せばゴミを吸引するものである」というイメージを先駆けて現実にかたちにしたと言えるように思われます。もしくは、設計製造者は設計製造行為によって掃除機のありようを、「コンセントにコードをつないでスイッチを押せばゴミを吸引するもの」たるよう定めた、といった言い方もできるでしょう。みなさんが掃除機を、掃除機にたいしてお持ちのイメージどおりであるかないかを基準に、問題無しか有りかを判定され、それぞれを正常または異常とお呼びになるというのは、掃除機が、設計製造者の設計製造行為によって定められたありようを呈していれば、問題無しと判定して、正常と呼び、呈していなければ、呈し損なっていると見て、問題有りと判定し、異常と呼ぶ(故障していると言う)、ということではないでしょうか。


 設計製造者の設計製造行為は、ご存じのように完璧ではありません。いくら掃除機のありようを、その設計製造行為によって「コンセントにコードをつないでスイッチを押せばゴミを吸引するもの」たるよう定めたつもりでいても、初っぱなからそうならないもの(不良品)や、しばらくするとそうならなくなるもの(故障品)が出てきます。設計製造者による設計製造行為がこのように不完全であればこそ、設計製造者の設計製造行為によって定められたありようを呈していれば、問題無しと判定して、正常と呼び、かたや定められたありようを呈していなければ、定められたそのありようを呈し損なった問題の有るものと判定して、異常と呼ぶことにもなる(機械を正常異常に区分けすることにもなる)のではないでしょうか。

つづく


正常異常の区別をつけるということの意味について、後日、平たい言葉で書き直しました。


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