(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ハイデガー『形而上学入門』/6.番外篇〜脳科学は存在証明をなしえていない〜

(4のつづき) 重箱の隅をつつくような、どうでもいい問題をとりあげているのでは決してないのである。私たちの日常生活に関係のない話しは一切していない。むしろ、生々しい生活の一面について終始私たちは触れているのである。 「ウソだぁ」 ウソではあり…

ハイデガー『形而上学入門』/3.第2章「ある」という語の文法と語原学とによせて

(2のつづき) 第一章の、「存在」という言葉は幻であるという驚愕の結論を受けて、第二章以降ハイデガーは、「ある」という言葉を考察していく。第二章までしか読み終わっていない今の段階ではその考察について何も言えないが、その何も言えない今のうちに…

高橋源一郎『ジョン・レノン対火星人』

大学で関西出身の友人がひとりできた。関西人と知り合いになったのはそれが初めてだった。今でこそ、「上方文化」はテレビなどを介して日本各地に浸透しているが、私が学生の頃はまだ、上方はそれこそ異国の地である。興味津津で彼に近づき、観察し、いろい…

ハイデガー『形而上学入門』/2.第1章 形而上学の根本の問い(続)

(1のつづき) 彼は、現にそこここにある存在とは違った、別の存在を考えているのである。 彼が想定するその存在は、「問う前に既に眼の前に与えられている存在者から無媒介に出発」するのでは捉えられないものなのである。 そしてその別の存在があってこそ…

ハイデガー『形而上学入門』/1.第1章 形而上学の根本の問い

ハイデガーがフライブルグ大学、1935年夏学期の講義のために用意したテクストを印刷したのが、この『形而上学入門』(平凡社ライブラリー、1994年)であるそうだ。書名からするとこの講義は、形而上学に入門するしかたを説いたもののように思われるが、はた…