(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

医学のものの見方が雑すぎることを、HPVワクチンを例に確認する〈5/8〉

*医学は喩えると、空気の読めないガサツなおじさん第11回


◇一点をとり除いた結果、身体に都合の悪い出来事が起こってきた例

 胃にがんができるのを医学は最近、ピロリ菌一点のせいにするようになったじゃないですか。ピロリ菌を、胃がんの原因とか胃がんを発症させる原因とか言うようになりました、ね? で、ピロリ菌をとり除きさえすればいいんだとり除きさえすれば胃がんにならなくなるんだと言って、ピロリ菌除去をし出したじゃないですか。たしかに、ピロリ菌を除去すれば、胃がんにならなくなるのかもしれませんよ。そんな都合の良いことが起こるのかもしれませんよ*1。けど、ピロリ菌を除去した結果、身体に起こるのは、そんな都合の良いことだけなのかなって、誰しも不安になるじゃないですか。ピロリ菌を除去した結果、都合の悪い出来事が身体に起こってきても何ら不思議はないんじゃないのかな、って?


 で、実際、ピロリ菌除去をいろんなひとにしていってみると、都合の悪い出来事が身体に起こってくるひともいるって、明らかになってきたんじゃないですか、ね? ピロリ菌除去を提唱した医師がいま、ピロリ菌除去に警鐘を鳴らしているってたしか読みましたよ。みずから率先してピロリ菌除去をやったところ、逆流性胃腸炎か何かになったんだ、って。


(いま言ったピロリ菌除去提唱者の話は、たしかうえからふたつ目の記事に載っていたと思います)


 胃がんをピロリ菌のせいにし、その一点をとり除きさえすればいいんだ、それさえとり除けば胃がんにならなくなるんだとするこのピロリ菌除去とおなじように、子宮頸がんをHPVのせいにし、その一点をとり除きさえすればいいんだ、それさえとり除けば子宮頸がんにならなくなるんだとして、HPVを身体のうちから除去した結果、ひとによっては、都合の悪い出来事が身体に起こってきても何ら不思議はないじゃないですか。いや、ひょっとするとそんな、都合の悪い出来事が起こるひとは出てこないのかもしれませんよ。でも、確実なことは実際にHPVをとり除いてみないことにはわかりません 都合の悪い出来事は身体に起こってこないんだって事前に決めつけることはできませんよ、ね?


(肝炎ウイルスを除去したあと肝臓がんになった方のお話もどうぞ)


 医学は、身体に起こる出来事を一点のせいにする出来事観にもとづいて、子宮頸がんになるのをHPV一点のせいにし、身体のなかからHPVが退治されれば、当然、子宮頸がんにならなくなる(段階③)んだとするってことでしたよね。で、HPVをとり除きさえすればいいんだとするってことでしたね。そうすることによって、HPVをとり除いた結果、都合の悪い出来事が身体に起こってくるっていう可能性を、いま見ましたように、無視するということでしたね。自分たちの生活が苦しいのを、国内の移民一点のせいにし、移民を国から排除しさえすればいいんだとする排外主義者が、移民がいなくなったあとの国の状態を考えもしないみたいに、ね?


 いやあ、それにしても、こんなふうに、身体に起こる出来事を一点のせいにし、その一点をとり除きさえすればいいんだとすることによって、都合の悪い出来事が結果として身体に起こってくる可能性を無視するっていうのは、医学にはよく見られることなんじゃないのかな。

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*1:ちなみに、ピロリ菌を除去しても、胃がんにならなくなるっていう都合の良いことが起こってこない可能性もあるって指摘するひともいます、ね?

医学のものの見方が雑すぎることを、HPVワクチンを例に確認する〈4/8〉

*医学は喩えると、空気の読めないガサツなおじさん第11回


◆医学は子宮頸がんをHPV一点のせいにする(段階③)

 まず段階③から見てみますね。


 医学のHPVワクチン観とよんで俺が先に示したのはこういうものだったじゃないですか。

箇条書きにすると

  • 段階①:HPVワクチンを接種すると、当然、HPVにたいする抗体が身体のなかに産出される。
  • 段階②:HPVにたいする抗体が身体のなかに産出されれば、当然、HPVは身体のなかから退治される。
  • 段階③HPVが身体のなかから退治されれば当然子宮頸がんにならなくなる


 それを図示するとこうなりましたね。

●HPVワクチン接種(A)

↓・・・段階①

●HPVにたいする抗体が身体のなかに産出される(B)

↓・・・段階②

HPVが身体のなかから退治される(C)

↓・・・段階③

子宮頸がんにならなくなる(D)


 これから見ていく段階③は図では(C)→(D)に当たりますよ。


 さて、段階③となづけたものの見方はどのようにして生まれ来たったのか


 医学は身体に起こる出来事を一点のせいにし、その一点をとり除きさえすればいいとするんだってずっと言ってきたじゃないですか。そんな排外主義的論理をとるんだ、って。


 医学は子宮頸がんについてもそうした出来事観をとります。子宮頸部にガンができるという出来事をHPV(Human papillomavirus, ヒト・パピローマウィルス)一点のせいにし、HPVを子宮頸がんを起こす原因(状況に関係なく子宮頸がんを起こすもの)であることにします。そうして、HPVを身体のなかから退治すれば、当然、子宮頸がんにならなくなる(段階③:C→D)っていうことにします。


 で、その一点を身体のなかからとり除きさえすればいいHPVを身体のなかから退治しさえすればいい)とします。そうすることによって、HPVを身体のなかから退治した結果、都合の悪い出来事が身体に起こってくるっていう可能性(Cから事が悪いほうに進む可能性を含む)を一切考える必要が無いことにします


 でもですよ、HPVを身体のなかから退治すれば、たしかに子宮頸がんにならなくなるっていう都合の良いことが起きるのだ(C→D)と仮にしても、HPVを身体からとり除いた結果、都合の悪い出来事が身体に起こってくるっていう可能性はやはり考えられるじゃないですか


 たとえば、蚊に刺されることを無くすために、蚊をこの世から抹殺しようと考えるとしますよ。蚊をこの世から抹殺できれば、たしかに蚊に刺されるということは無くなります、ね? でも、蚊を抹殺した結果、起こるのはそんな、蚊に刺されなくなるっていう都合の良いことだけですかね? ひょっとすると、生態系が崩れて(食物連鎖を小学校の理科で習いましたね?)人間にとっての害虫が増え、農作物に被害が出るといったような都合の悪い出来事も結果起こってくるかもしれないって、誰しも心配になるじゃないですか、ね? その心配はたしかに杞憂に終わるかもしれませんよ。杞憂に終わるかもしれませんけど、でも、蚊を抹殺した結果、都合の悪い出来事も起こってくるのか、それとも起こってこないのかは、実際に蚊を抹殺してみないことにはわからないじゃないですか、ね?


 それとおなじで、HPVを身体のなかからとり除いた結果、身体に起こるのは、子宮頸がんにならなくなる(蚊に刺されなくなることに相当)っていう都合の良いことだけなのかなって、最初に誰しも不安に思うじゃないですか。結果何か都合の悪い出来事が身体に起こってきても不思議はないんじゃないのかな、って?


 実際に前例ありますし、ね?


(どんな結果が夜空のムコウに待っているんでしょうね?)



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医学のものの見方が雑すぎることを、HPVワクチンを例に確認する〈3/8〉

*医学は喩えると、空気の読めないガサツなおじさん第11回


◇医学のHPVワクチン観(概略)

 医学の出来事観と物質観とにもとづいて医学はこう考えるんじゃないですか、ね?


 HPVワクチンを接種すると、当然、HPVにたいする抗体が身体のなかに産出される(以後、段階①とよぶことにしますね)。そのように、HPVにたいする抗体が身体のなかに産出されれば、当然、HPVは身体のなかから退治される(段階②とよびますね)。で、そうして、HPVが身体のなかから退治されれば、当然、子宮頸がんにならなくなる(段階③とよんでいきますね)って。

箇条書きにすると

  • 段階①:HPVワクチンを接種すると、当然、HPVにたいする抗体が身体のなかに産出される。
  • 段階②:HPVにたいする抗体が身体のなかに産出されれば、当然、HPVは身体のなかから退治される。
  • 段階③:HPVが身体のなかから退治されれば、当然、子宮頸がんにならなくなる。


 段階①②③から成るこうした、HPVワクチンについての医学の見方を以後、医学のHPVワクチン観とよぶことにしますね。このHPVワクチン観は、図にするとこうなりません?

●HPVワクチン接種(A)

↓・・・段階①

●HPVにたいする抗体が身体のなかに産出される(B)

↓・・・段階②

●HPVが身体のなかから退治される(C)

↓・・・段階③

●子宮頸がんにならなくなる(D)


 ほら、HPVワクチンを接種すれば子宮頸がんにならなくなる()ってことはすでにもう証明済みなんだと言って、医学は当初からよくグラフをもち出してきたじゃないですか。そのグラフって、「HPVワクチンを接種したひとたち」と「HPVワクチンを接種しなかったひとたち」それぞれの身体のなかに認められる、HPVにたいする抗体の量を比較したものでしたよ、ね? 前者「HPVを接種したひとたち」のほうが、身体のなかに認められるそうした抗体の量が多いってことを表したグラフでした、ね? 医学はそのグラフを差し出してこう言ってきたじゃないですか。


 このグラフから、HPVワクチンを接種すると、当然、HPVにたいする抗体が身体のなかに産出される)ということが示された。よって、HPVワクチンを接種すると、子宮頸がんにならなくなる()のは明らかである、って。


 そんなことが言えるっていうのはまさに、HPVにたいする抗体が身体のなかに産出されれば当然、HPVは身体のなかから退治され()、そうしてHPVが身体のなかから退治されれば、当然、ひとは子宮頸がんにならなくなる()んだって医学が見てる証拠なんじゃないですか、ね?


 で、医学のこのHPVワクチン観、じっくりと見てみてくださいよ。箇条書きでまとめたものより、図のほうを見てもらったほうがわかりやすいかな? (A)から(B)、(B)から(C)、(C)から(D)へとそれぞれ事が進まない可能性(都合の良いことが起こらない可能性)や、(A)(B)(C)それぞれから、都合の悪いほうに事が進んでいく可能性(都合の悪い出来事が身体に起こる可能性)を、ほんとうなら想定していなければならないのに、全然想定していないじゃないですか。


 それって、どういうことですかね?


 
HPVワクチンを接種(A)しても、子宮頸がんにならなくなるっていう都合の良いことが起こってこない可能性や、HPVを接種した結果、都合の悪い出来事が身体に起こってくるっていう可能性を、事のはじめから見落としてるってことなんじゃないですか、ね? つまりHPVワクチンを夢のワクチンにちがいないっていきなり決めつけてるってことなんじゃないですか、ね?


 いま、ウサイン・ボルトさんばりの駆け足で概略をざっと見ましたよ。えっ、説明が大雑把すぎて何ひとつ見えなかった? いや、安心してください。いずれにせよ、いま挙げた段階①②③をひとずつ、後ろから順に、これからゆっくりと見ていくつもりにしてましたよ。


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医学のものの見方が雑すぎることを、HPVワクチンを例に確認する〈2/8〉

*医学は喩えると、空気の読めないガサツなおじさん第11回


◆HPVワクチンを接種した結果、身体に起こってくるのは、都合の良いことだけといきなり請け合えるか

 HPVワクチンをおなじように接種しても、アルコールを飲んだときのように、ひとによって、もしくはおなじひとでも時と場合によって、身体に起こる出来事がしばしば異なってきても何ら不思議はないじゃないですか(先の「物質の現実」より)。医学が力説するように、HPVワクチンを接種すればたしかに、子宮頸がんにならなくなるっていう都合の良いことが起こってくるのかもしれないけど、ひとによっては、もしくはおなじひとでも時と場合によっては、そうした都合の良いことは起こらないということでも何ら不思議はありません、ね? それどころか、ひとによっては、もしくはおなじひとでも時と場合によっては、都合の悪い出来事が身体に起こってくるということでも何ら不思議はないじゃないですか、ね? だって人間は互いにみな違っているわけだし。


 要するに、HPVワクチンを接種した結果として身体に起こってくるのは、つぎの5つの場合のいずれかになるんじゃないかってまず推測されますよ、ね(下記の「都合の良いこと」というのは、子宮頸がんにならなくなること等です)。

都合の良いことは起こる都合の悪い出来事は起こらない得をする)。

都合の良いことも都合の悪い出来事も起こる

  • (a)都合の良いことの都合の良さが、都合の悪い出来事の都合の悪さを上回る得をする
  • (b)都合の良いことの都合の良さが、都合の悪い出来事の都合の悪さを下回る(損をする)。

3.都合の良いことも、都合の悪い出来事も、起こらない(得も損もしない)。

4.都合の良いことは起こらない。都合の悪い出来事は起こる(損をする)。


 HPVを接種して、得をするひともいれば(1と2(a))、損をするひとも出てくるんじゃないか(2(b)と4)ってことですよ、ね?


 いやHPVワクチンを接種すればほとんどのひとが得をする1か2(a)になるのかもしれませんよでもそれはいろんなひとに接種してみた後でないとわからないことじゃないですか。まだほとんどのひとに接種していない段階で(少なくとも日本では)、みんな得をするんだ(1か2(a)になるんだ)って請け合うのはさすがに無理なんじゃないですかね?


 よく考えてみてくださいよ。摂取接種した結果得しかしない(1か2(a)にしかならない)って物質実際になかなかないじゃないですか。食物ですら最近は、食べて損をする(2(b)か4になる)ひとが増えてきてますし(食物アレルギーってよばれていますね)、だいたいどんな物質でも、摂取・接種すると、いま挙げた5つの場合に、程度の差はあれ、分かれるんじゃないですか、ね? アルコールやコーヒーといった飲食物もそうだし、薬剤なんか尚更そうなんじゃないのかなあ。薬に副作用は付きものだって、最近、多くのお医者さんが涼しい顔して言うじゃないですか、ね?


 得しかしない(1か2(a)にしかならない)なんて薬剤、開発するの、むつかしいんじゃないかなあ。


 夢のワクチン、あればいいですね、あることを望みます、ね? でもそのいっぽうで、そんなのはこれまでの現実から推測するに、なかなか存在しそうにないんだって、誰しも思うじゃないですか。なのにですよ、なのに医学はHPVワクチンをいきなり夢のワクチンだって世間に喧伝しましたよ、ね? で、そうした喧伝を信じてHPVワクチンを接種した結果、損をすることになった(先の2(b)や4になった)と思われるひとたちが少なからず出てきて苦しみを訴えても、そのひとたちのことを、デマを言う人間だと誹謗中傷したり、反ワクチンだと馬鹿にしたりしてまで、まだHPVワクチンを夢のワクチンであることにしようとしているじゃないですか、ね(SNSで医師が熱心にそういうことをしているのに出くわしません?)?


(さっき貼り付けた記事をもう一度貼り付けておきますね)


 なぜ医学はそんなふうにいきなりHPVワクチンを夢のワクチンであると喧伝することができたのか。そして、まだ夢のワクチンであると言い張ろうとするのか。


 金、ですかね?


 いやあ、俺にはその辺のことはまったく何にもわかりませんね。ただ、医学の出来事観と物質観のガサツさからすればおのずとそういうことなるんじゃないかと思うだけで。


 どういうことか。


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医学のものの見方が雑すぎることを、HPVワクチンを例に確認する〈1/8〉

*医学は喩えると、空気の読めないガサツなおじさん第11回

目次
・医学の出来事観と物質観(復習)
・夢のワクチンと謳われてHPVワクチンが登場したときにみなさんが覚えた素朴な疑問
・HPVワクチンを接種した結果、身体に起こるのは都合の良いことだけといきなり請け合えるか
・医学のHPVワクチン観(概略)
・医学は子宮頸がんをHPV一点のせいにする(段階③)
・一点をとり除いた結果、身体に都合の悪い出来事が起こってきた例
・HPVにたいする抗体が身体のなかにできると(段階②)
・HPVワクチンを接種すると(段階①)
・医学の出来事観と物質観にもとづくと(結論)


◆医学の出来事観と物質観(復習)

 ここまで医学の出来事観と物質観を見てきました。


 医学は、ひとの身になろうとする代わりに、ひとの身体に起こる出来事を一点のせいにする(医学の出来事観)ってことでしたね。


 で、そうした出来事観を突きつめて物質を定義づけるんだってことでしたね。その物質定義はつぎの3通りの仕方で表現できました。

  • 表現①:物質それぞれは、身体に特定の出来事を起こす原因である(原因という言葉をもちいての定義)
  • 表現②:物質それぞれは「状況に関係なく身体に特定の出来事を起こすもの」である(原因という言葉をもちいない定義)
  • 表現③:おなじ物質をおなじように摂取接種すれば当然、身体におなじ特定の出来事が起こる。


 でも、物質って実はそんなものではありませんでしたね。そもそもこの世に原因なんてものは存在しないということでした。つまり、おなじ物質をおなじように摂取・接種しても、ひとによって、もしくはおなじひとでも時と場合によって、身体に起こる出来事はしばしば異なるっていうのが現実なんだってことでしたね。アルコールや、コーヒー、毒、薬を挙げてそのこと確認したじゃないですか、ね?

  • 物質の現実:おなじ物質をおなじように摂取しても、ひとによって、もくしはおなじひとでも時と場合によって、身体に異なる出来事が起こることシバシバである。


 さて、医学はそうした不適切な出来事観と物質観にもとづいてものを見るわけですけどその結果どういうことになるとみなさん思います? わかりやすい例をもちいて、その辺りを最後にちょっと見ておきません?


 そうだなあ、いまなら、HPVワクチンなんかそのわかりやすい例になるんじゃないかな。


 いっちょ、HPVワクチンで考察してみますか?


◆夢のワクチンと謳われてHPVワクチンが登場したときにみなさんが覚えた素朴な疑問

 HPVワクチンは子宮頸がんワクチンという名前で華々しく登場したじゃないですか。みなさんそのときのこと覚えてます? たしか夢のワクチンって騒がれましたよね? 接種すれば子宮頸がんにならなくなるんだ多くのひとたちの命が救われるんだこれは夢のワクチンなんだって、当初さかんに喧伝されたじゃないですか。いまも相変わらずそう喧伝されているのかもしれないですけど。


(言葉遣いが丁寧な新聞にしては露骨な表現ですよね)


 だけど、最初そうした喧伝を耳にしたとき、みなさん疑問を覚えたんじゃないですかね


 接種すれば子宮頸がんにならなくなるんだ、多くのひとの命が助かるんだとしきりに言うけど、そのワクチンを接種した結果身体に起こるのはそんな、子宮頸がんにならなくなるっていう都合の良いことだけなのかな、って。


 そうならいいし、是非そうであることを望むけど、この甘くない世界に、都合の良いことしか起こらないっていうそんなうまい話あるのかな、って。


 まだ登場して間もないワクチンなのに、接種の結果身体に起こるのはそんな都合の良いことだけなんだってなぜいきなり自信満々に請け合えるのかな、って。


 夢の新薬と謳われて登場したものの、いざ使ってみると、重篤な副作用をこうむるひとが続出したなんてこと、これまで少なからずあったんじゃないのかな、って  


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医学のガサツな物質観について確認する(3/3)

*医学は喩えると、空気の読めないガサツなおじさん第10回


 毒と呼ばれる物質はどうですかね? 服毒なんかの場合ですら、摂取後、身体に起こる出来事は、ひとによって、もしくはおなじひとでも時と場合によって異なると言わなくちゃなんないんじゃないですか、ね? 公害被害をうけたひとの身体に起こる出来事はみなおなじ、というのではないじゃないですか。症状は多様って聞きません?(俺の聞き間違いですかね?) 動物の毒はどうです? 蛇の猛毒なんか摂取すれば死ぬに決まっているとだいたい誰でも思うじゃないですか? けど、そんな毒を自分に接種しているひとがいるんだって、最近、ニュースになってましたよ、ね? 毒をおなじように摂取・接種しても、ひとによって、またおなじひとでも時と場合によって、身体に起こる出来事はしばしば異なるって言わなくちゃなんないんじゃないですか、ね?


(蛇の毒についての記事はこれですよ)


 だってそうですね。おなじ薬をおんなじように飲んでも、効くひともいれば効かないひともいる。具合が悪くなるひとだっています、ね? 最悪、死んでしまうひとだって、ね? おなじ薬をいつもとおんなじように飲んでも、ふだんは効くのに、時によって効かなかったり具合が悪くなったりすることだってありますよ、ね?


 でもまあ、アルコールであれ、コーヒーであれ、毒であれ、薬であれ、その他の物質であれ、おなじように摂取・接種しても、こんなふうに、ひとによって、もしくはおなじひとでも時と場合によって、身体に起こる出来事がしばしば異なるっていうのは、考えてみりゃあ当たりまえのことじゃないかなあ


 ふたりの人間を考えてみてくださいよ。お互いどんなにそっくりでも、まったく違いが無いなんてことはないじゃないですか。じゃあそんなふうに互いに違いがあると、どうなります? そのふたりが、おなじ物質をおんなじように摂取・接種した結果、身体に起こる出来事が互いに異なってきたとしても何ら不思議はない、ってことになるじゃないですか、ね?


 同様のことが、ひとりの人間についても言えますよね? 昔の俺は、いまの俺にあらず。ひとは刻一刻と変化していくじゃないですか。なら、おなじひとがおなじ物質をおんなじように摂取・接種しても、時と場合によって、身体に起こる出来事が異なってきたって何ら不思議はないじゃないですか、ね?


 医学の物質観を見てきました


 最初にこう確認しましたね? 医学は医学の出来事観(身体に起こる出来事を一点のせいにする見方)を突きつめて、物質それぞれをみな、身体に特定の出来事を起こす原因状況に関係なく身体に特定の出来事を起こすもの)と決めつけるんだ、って。そうして、おなじ物質をおなじように摂取・接種すれば、当然、身体におなじ特定の出来事が起こってくるってことにするんだ、って。でも、実際、物質はそんなものじゃないってことでしたね。おなじ物質をおなじように摂取・接種しても、ひとによって、もしくはおなじひとでも時と場合によって、身体に異なる出来事が起きることシバシバなんだ、って。論理的に考えてみてもそうなるのは当たりまえなんだ、ってことでしたね。

【1.医学の物質観まとめ】

  • 表現①:物質それぞれは、身体に特定の出来事を起こす原因である(原因という言葉をもちいての表現)。
  • 表現②:物質それぞれは、「状況に関係なく身体に特定の出来事を起こすもの」である(原因という言葉をもちいないでの表現)
  • 表現③:おなじ物質をおなじように摂取・接種すれば、当然、身体におなじ特定の出来事が起こる

【2.物質の現実】

  • おなじ物質を、おなじように摂取・接種しても、ひとによって、もしくはおなじひとでも時と場合によって、身体に異なる出来事が起こることシバシバである。


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医学のガサツな物質観について確認する(2/3)

*医学は喩えると、空気の読めないガサツなおじさん第10回


◆医学の物質観(3つの表現で)

 医学は、身体に起こる出来事ひとつひとつを、一点のせいにしていきます、ね? つまり、身体に起こる出来事ひとつひとつにたいし原因を想定しますよ、ね?


 医学はその見方を徹底します。そして、こう考えます。この世の物質はそれぞれみな、身体に特定の出来事を起こす原因状況に関係なく身体に特定の出来事を起こすもの)なんだ、って。


 すなわち、物質Aは、身体に出来事aを起こす原因状況に関係なく身体に出来事aを起こすもの)であって、物質Aがあれば当然、身体に出来事aが起こってくるし、物質Bは、身体に出来事bを起こす原因状況に関係なく身体に出来事bを起こすもの)であって、物質Bがあれば当然、身体に出来事bが起こってくる、また物質Nは、身体に出来事nを起こす原因状況に関係なく身体に出来事nを起こすもの)であって、物質Nがあれば、当然、身体に出来事nが起こってくるんだ、っていうふうに考えます。


 そうして、おなじ物質を、おなじように摂取・接種すれば、当然、身体におなじ特定の出来事が起こってくると決めつけます。


 そのように物質を見るのが、医学の物質観だと言えるんじゃないですかね?

【医学の物質観まとめ】

  • 表現①:物質それぞれは、身体に特定の出来事を起こす原因である(原因という言葉をもちいての表現)。
  • 表現②:物質それぞれは、「状況に関係なく身体に特定の出来事を起こすもの」である(原因という言葉をもちいないでの表現)。
  • 表現③:おなじ物質を、おなじように摂取・接種すれば、当然、身体におなじ特定の出来事が起こる


 ほら、ガンをやッつける薬だとか、血圧を下げる薬、インフルエンザを予防するワクチン、発がん性物質、食べ物Yはがん発症率を何%上げる、コーヒーは心臓血管系の疾患発症率を低下させる*1、ワクチンを接種すれば麻疹にかからなくなる、といったように、医学は物質それぞれを、おなじように摂取接種すれば当然、身体におなじ特定の出来事が起こるもの(上記表現③)であるかのように、世間に宣伝するじゃないですか、ね?


 でも、この世に原因なんかそもそも存在しないんじゃなかったでしたっけ? 出来事を一点のせいにするというのは、その一点を、当の出来事を起こす原因(状況に関係なく当の出来事を起こすもの)とすることである。だが、出来事を一点のせいにすることはできない。したがって、そんな原因なるもの(状況に関係なく当の出来事を起こすもの)も存在しやしないんだって、ビリヤードの例を用いて確認したんじゃなかったでしたっけ、ね?


(そのことを確認したのは、下の記事)


 なら、上記の表現①と②のように、物質それぞれを、身体に特定の出来事を起こす原因状況に関係なく身体に特定の出来事を起こすものと見るのは不適切だってことになるじゃないですか、ね? おなじ物質をおなじように摂取・接種すれば、当然、身体におなじ特定の出来事が起こる(表現③)ってことにするのは不適切なんだって、ね?


◆物質の現実(アルコール、コーヒー、毒、薬)

 実際のところ、おなじ物質をおなじように摂取・接種すれば、当然、身体におなじ特定の出来事が起こるのかっていうとそういうふうにはいきませんよ、ね? おなじ物質をおんなじように摂取・接種しても、ひとによって、もしくはおなじひとでも時と場合によって身体に起こる出来事はしばしば異なるじゃないですか、ね?


 たとえばアルコールを考えてみてくださいよ。みんなおなじように飲んでいるのに、ひとりだけベロンベロンになってたりすることあるじゃないですか。それとか、いつもとおんなじように飲んでいるのにひどく酔っ払っちゃう淋しい夜とかも、ね? アルコールをおんなじように摂取・接種しても、こんなふうにひとによって、もしくはおなじひとでも時と場合によって、身体に起こる出来事が違ってきたりしますよ、ね? 


 コーヒーもそうじゃないですか? おんなじようにコーヒーを飲んでも、とても美味しがるひともいれば、具合が悪くなっちゃうひとだっているじゃないですか。それとか、いつもとおんなじように飲んでいるだけなのに、時によってひどく胃もたれしちゃったり、口がとても臭くなったりするようなこと、ありますよ、ね?


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*1:ちなみに、コーヒーを、心臓血管系の疾患発症率を低下させる物質であるとする医学の見方について考察した記事はこちら。